ベトナム・ホーチミンの玄関口「タンソンニャット国際空港」から市内中心部へのアクセスで、もっともポピュラーなのは、やはり「タクシー」ですよね。予約もアプリも不要で、サッとその場で乗ることができるのが魅力です。
しかし、ぼったくり被害が後を絶たない、ベトナムのタクシー、とくにタンソンニャット空港のタクシーは注意が必要です。この記事では、ホーチミンのタンソンニャット空港で、タクシーを安全に、そして快適に利用する方法を紹介していきます。
空港タクシー基本情報
市中心部までの料金…15~20万ドン(約900~1200円)
※空港使用料がメーターとは別に1万5千ドン請求されることもある。
市中心部への距離…7~8km
タクシー乗り場…建物を出て左手に、「TAXI STAND」の看板あり
乗り方…乗りたい会社を指名すると、その会社の案内係がタクシーまで案内。行先(住所)を案内係に告げて乗車。支払いはメーター制で後払い。
※必ずしも、先頭のタクシーに乗らなくてよい
※案内係は基本的に英語が話せ、ドライバーは英語が話せないことも多い
ぼったくりタクシーの現実
ベトナムに限らず、海外旅行中は、ぼったくりタクシーの存在が気になりますよね。ホーチミンに、ぼったくりタクシーはいるのでしょうか。
調べてみると、こんなニュース記事が出てきました。
記事によると、タンソンニャット空港から1区のホテルまでタクシーで移動した際、距離が7km程だったにもかかわらず、120万VND(約6800円)という高額の運賃請求をされた日本人観光客がいたそうです。この方は被害届を出したので、ニュースにもなっていますが、おそらく、同じような被害にあって、届けを出していない方が何人もいるのではないでしょうか。
また、外務省海外安全ホームページにも、ベトナムでのタクシー利用に関する注意喚起が出ていました。
呼び込みをしているタクシードライバーを安易に信用するなという注意喚起です。
こういった情報を見ると、空港にいるタクシーの中には、少なからずぼったくりタクシーがいるのが、2024年になった今でも現実です。
タクシーを利用するメリット
さて、ぼったくり被害などのトラブルが多いホーチミンの空港タクシー、あえて利用する価値があるのでしょうか。
私は十分あると思います。メリットは2つです。
予約なしですぐに乗れる
一つは、予約なしで気軽に乗れるところです。到着したら、タクシースタンドに向かい、すぐに乗車できます。
最近はグラブ(配車アプリ)が普及してきましたが、アプリを使うにはインストールしなければなり、数日の旅行のためには、手間だなと感じる人も多いのではないでしょうか。
意外と安い!
そして、もう一つは意外と安いということ。ホーチミンは空港から市内中心部までの距離が近く、たったの7kmほどしかないため、正規のメータータクシーならば、料金は20万ドン以下になります。一方、チケット制のタクシーや、事前予約の送迎車などの相場は20~40万ドン程度かかってしまいます。
ちなみにハノイは空港から市内中心部まで、30kmほどあり、タクシーで行くと50万ドン前後かかってしまい、送迎車より高くなってしまいます。
ホーチミン空港タクシー体験記
2024年8月、私は空港から市内中心部の1区までタクシーを実際に利用してみました。ぼったくりタクシーは存在しているのでしょうか。
とりあえず両替
タンソンニャット空港に到着し、入国審査を済ませ、税関を抜けると、両替やSIMカードのブースが並んでいます。とりあえず、ここで両替をしておくことにしました。
タンソンニャット空港は、一度、建物外に出てしまうと、基本的には到着ロビーに戻れないシステムのようなので、とりあえずは両替です。
建物の外に出る
建物の外に出ると、迎えの人が大勢いました。建物の中に入れないので、外で待っているというわけですね。
建物を出たら、左手に進みます。柱に番号が書かれていますが、若い方の数に向かって歩きます。
タクシーに乗車
すると、「TAXI STAND」の表示があり、各タクシー会社の案内係が待っています。この人たちはドライバーではありません。
ここで、何も言わないと適当な会社に案内のタクシーに案内されます。私は今回、あえて、「何でもいいよ」と言ってみました。本来ならば、安全と言われるタクシー会社を指名したいところなのですが…。
すると、案内されたのは、先頭のタクシーではなく、数台後ろのタクシーでした。まぁ、制服も来ているし、危険な目には合わないでしょう。
「VINATAXI(ビナタクシー)」というタクシーでした。一応、大手の会社。黄色をしたタクシーとして有名ですが、車体は黄色ではありませんでした。
でも、案内係のお兄さんも黄色の制服だから、本物…ですよね?
お兄さんに、行先を伝えタクシーに乗り込みます。ドライバーは50代くらいの女性の方でした。
まさかの定額制
案内係のお兄さんがドライバーにベトナム語で行先を伝えると、車は発車。しかし、ドライバーの彼女はメーターを触る気配がありません。
メーターを使うのか聞いてみたところ、なんと答えは使わないとのこと。そして、料金は、定額制の30万ドン(約1800円)。
これは、ぼったくりとは言いにくい、何とも微妙な金額です。
彼女いわく、空港に停車している時間が長かったという理由で、メーターは使わないんだとか。
あやしいドライバー
車内で、私がブログの記事に載せたいから、あなた(ドライバー)の写真も撮っていいか?と、彼女に尋ねると、「それは嫌だけど、私があなたの写真を撮ってあげる」と言われました。
そして、スマホを貸すように言われ、私はドライバーにスマホを手渡しました。しかし、写真を撮ってくれる様子は全くなく、彼女はなんとそのスマホを持ったまま、運転し続けます。
私に写真を撮られたくないのか、もしくは、私が「お金を適正価格の15万ドンしか支払わない!」などと言い出さないよう、人質的にスマホを取ったのか…。
そして、写真は後でと言いながら、何食わぬ顔で世間話を続け、いつのまにか彼女自身の身の上話に。
嘘か本当かわからないけれど、彼女には夫がいたのだけれども、政治的な事情で夫は日本に保護され、自分はベトナムに残ることになったんだそう。夫の連絡先がわからず、会うことができないでいる状態なんだとか。
そんな、何ともかわいそうなお話。
って、これは同情をかって、ちょっと高めのタクシー代とあわよくばチップをもらおうという作戦に違いないな、と確信しました。
ちなみに、この会話はベトナム語と、難しい単語はグーグル翻訳を使いながらしました。おそらく、ベトナム語が全くわからなくても、彼女はグーグル翻訳を使い慣れているようだったので、同じ話をしてきたのではないかと思います。
無事に降車
目的地に到着しました。
30万ドンと5万ドンのチップを彼女に渡し、スマホを返してもらい、無事に降車です。
脅迫などせず、35万ドンをさらりと回収していく彼女、なかなかやるなあ、なんて思ってしまったり。
私も、2024年の今でも、あやしげなタクシードライバーが、タンソンニャット空港に存在していることを把握できたので、ちょっとラッキーだったな、と思っているんですけどね。
安全に利用するコツ
ぼったくりのニュースや、私の体験談を読むと、ホーチミンの空港でタクシーを利用するのをためらってしまいますよね。
しかし、コツをおさえて利用すれば、本当は便利な交通手段です。
タクシースタンドから乗る
もっとも大切なことはタクシースタンドから乗ることです。
建物から外に出ると、「タクシー?」「グラブ?」などと、声をかけられるかもしれませんが、そういった勧誘はすべて無視をし、左側にあるタクシースタンドに向かって歩いて行ってください。
外務省から注意喚起されているくらい、勧誘してくるドライバーは危険な可能性が高いです。ぼったくりだけならまだしも、最悪の場合、知らない場所に連れて行かれるかもしれません。
安全なタクシー会社を選ぶ
次に大切なことは、タクシー会社選びです。タクシースタンドにすら、私が体験したようにメーターをまわさないドライバーなどが紛れている可能性もあります。そんなドライバーに会わないためには、やはり大手のタクシー会社を選ぶのが安心です。
タクシースタンドでは、前にいる車から乗車しなければならないと思いがちですが、タクシー会社を選ぶことができます。後ろの方の会社を選んでも問題ありません。
空港に限らず、街中でも安全な大手タクシー会社を選んで利用しましょう。
ホーチミンの安全なタクシーの代表格と言ったら、ビナサンタクシー(VINASAN TAXI)とマイリンタクシー(Mai Linh Taxi)です。
ただ、どちらも信頼度は高いのですが、偽物もいるので注意してください。
タクシースタンドにたどり着く前に、声をかけてきたドライバーが偽物タクシーに案内することがありますよ。
また、最近よく街で見かけるサインSMタクシー(XANH SM TAXI)、こちらも安全なタクシーの一つなのでおすすめです。ホーチミンではまだ乗ったことがありませんが、ハノイで乗車してみました。
メーターの確認
タクシースタンドから、ビナサンまたはマイリンに乗れば、99%安心と言えると思うのですが、念のためにメーターの見方も覚えておきましょう。
まず、タクシーが出発する前に、メーターを使うのかどうか尋ねてください。また、動き出したら、きちんとメーターが動いているのかも確認しましょう。
そして、メーターの読み方を理解しておくことが重要です。
上の写真では、31と大きく表示されていますが、31ドンではありません。31ドンでは1円にもなりません。
それでは、31万ドン?
これも違います。正解は、3万1千ドンです。31,000と書くとき、31の横に「,」がありますよね?この「,」の右側のゼロ3つが省略されているのです。
それでは、こちらのタクシーはどうでしょう。よく見ると、「494.0」と書かれています。これも、「.」のところで、区切って考えます。494に0が三つくっつくので、494,000ドンとなります。
タクシーメータの読み方を理解していないと、15万ドン(約900円)と表示されているのに、間違えて150万ドン(約9000円)支払ってしまう可能性があります。
細かいお金を準備
空港内で両替をするときに、細かいお金を混ぜてもらうことも大切です。
お釣りがないことを理由に、あわよくば代金より多くもらおうと考えるドライバーがいるかもしれません。細かいお金があれば、お釣りがないと言われたときにも、対応できます。
また、財布を広げて、一生懸命お札を探していると、ドライバーが横から「ちょっと見せて」と言って、お金を抜き取ってくる可能性もあります。
空港から市内までは、20万ドン以内のはずなので、あらかじめ20万ドン札を用意しておいてもいいかもしれません。
快適に利用するコツ
ここからは、ぼったくりとは関係なく、タクシーを利用するコツの紹介です。日本とは勝手が異なるので、あらかじめ頭に入れておくと、スムーズな対応ができると思いますよ。
行先は紙に書いておく
ベトナムでタクシーに乗るときは、行先のホテル名とホテルの住所を書いておくとおすすめします。
案内係の人もドライバーも、ホーチミンのすべてのホテルを把握しているわけではありません。しかし、ベトナムの住所は通り名なので、何通りがどこにあるのかは、みなさん、ほぼ完ぺきに覚えています。
また、ベトナム語をカタカナ読みしても、ほとんど伝わりません。Googleマップなどを使って、スマホで住所をすぐに見せられるようにしておくのも良いでしょう。
空港使用料はぼったくりではない
ドライバーは空港使用料(1万5千ドン)を支払わなければなりません。メーターの料金に加えて請求されるかもしれませんが、これはぼったくりではないので、支払いましょう。
お金に敏感になり過ぎて、きちんと仕事をしているドライバーに対して失礼な態度を取りたくはないですよね。
大きな荷物がある場合チップも
スーツケースなど大きな荷物を運んでもらった場合、1~2万ドン(60~120円)のチップを渡してもよいかもしれません。必須というわけではありませんが、渡すと喜ばれます。
また、金額に端数がある場合、切り上げて渡すのもスマートです。例えば、14万2千ドンだったら、15万ドンを渡します。
自分でドアを開けて降りる
ベトナムのタクシーは自動ドアではありません。自分でドアを開けて乗り降りします。目的地に到着したら、自分でドアを開けておりましょう。ホテルによっては、ホテルのドアマンが開けてくれるかもしれません。
タクシー以外の市内アクセス方法
タンソンニャット国際空港から市内までの交通手段は、タクシースタンドからタクシーに乗る以外の選択肢もあります。
主なアクセス方法は、この記事で紹介した、メータータクシーの他に、チケット制タクシー、事前予約の空港送迎サービス、グラブ(配車アプリ)、路線バス(109番・152番)の5つです。
ベトナムはまだ電車が発展しておらず、ホーチミン、ダナン、ハノイどこの国際空港も、市内への電車が走っていません。本当は、電車があると安心なんですけどね。
主な市内アクセス方法
- メータータクシー
- チケット制タクシー
- 事前予約の空港送迎サービス
- グラブ(配車アプリ)
- 路線バス(109番・152番)
タンソンニャット空港はチケット制のカウンターがたくさん並んでいます。空港到着後、カウンターに行き、申し込みをすれば、すぐに車を手配してくれます。料金は20~40万VND程度のようです。
また、日本出発前に送迎車を事前予約するのも一つの方法です。ホテルが送迎サービスを行っていることもあります。こちらの値段はチケット制タクシーと似たような金額です。
そして、東南アジアへ定期的に旅行へ行く人におすすめなのがグラブ(配車アプリ)の利用です。一度、登録してしまえば、好きな場所で、好きな時に車を呼ぶことができます。ただ、空港はピックアップポイントが決まっているので、注意する必要があります。料金は交通量や天候によって変動しますが、たいていの場合、タクシーより若干安くなります。
荷物が少なく、時間を気にしないのであれば、路線バスもおすすめです。
ホーチミンの空港タクシー・まとめ
ホーチミンの空港「タンソンニャット国際空港」から市内へ移動する際、タクシーは予約不要で値段もお手頃なので便利な交通手段です。
しかし、いまだに、ぼったくりタクシーがあるのも現実です。安全に利用するにはどうすればいいのか、事前によく理解してから乗車することをおすすめします。
「ちょっと心配だ…」そんな人は、空港送迎サービスなどを事前予約してもいいかもしれません。