ベトナム・ハノイ旅行を計画している皆さん、ハノイから行ける人気の観光スポット「ハロン湾」と「チャンアン」、どちらに行くべきか迷っていませんか。
どちらも壮大な自然の景観が魅力的な世界遺産ですが、限られた旅行期間の中ではどちらか1か所を選ばなければいけないこともありますよね。
今回の記事では、ハロン湾とチャンアンの魅力を比較し、それぞれの特徴を詳しくみていきたいと思います。また、記事の最後に、おすすめのハロン湾ツアー、チャンアンツアーも紹介しますよ。
ハロン湾の魅力
ハロン湾とチャンアン、どちらがハノイ旅行の定番かと言えば、やはりハロン湾の方に分があります。まずは、ハノイ旅行の定番観光地、ハロン湾の魅力についてみていきましょう。
クルーズ船に乗って楽しむ、奇岩の景色
ハロン湾は、ハノイから東へ約150キロ、クアンニン省に位置します。
ハロン湾は、エメラルドグリーンの海から、数千ともいわれる大小さまざまな石灰岩の奇岩が突き出ている景色で有名です。中国の桂林に似ていることから、「海の桂林」と呼ばれることもあります。
クルーズ船に乗って湾内をめぐることで、その壮大さを間近に感じることができます。
北部を代表する世界遺産
ベトナムには8つの世界遺産があります。ハロン湾は、そのうちのもっとも有名な世界遺産の一つではないでしょうか。ハノイの旅行会社でツアーについて尋ねると、真っ先に紹介されるのは、やはりハロン湾クルーズツアーです。
ハロン湾は、1994年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。その後、2000年と2023年にその範囲が拡張され、ハイフォン市のカットバ島も世界遺産エリアに含まれるようになりました。ベトナムで初めての省・市をまたいだ世界遺産となっています。(クアンニン省・ハイフォン市)
世界遺産の海で「カヤック」に挑戦!
船からの景色を楽しむだけがハロン湾ではありません。ハロン湾では、シーカヤックを体験することができます。
「え、カヤックなんてやったことないよ」と思った皆さん、ご安心ください。ハロン湾はとても穏やかな海なので、初心者でもカヤックに挑戦することができるんです。お母さんと幼児のペアでカヤックをしている姿もよく見かけますよ。
また、カヤック乗り場には、船頭さんがいるバンブーボートも用意されています。バンブーボートに乗れば、自分で漕ぐことなく、景色を堪能できます。
カヤックを体験するためには、クルーズ船予約時にカヤックが含まれているか確認が必要です。
神秘的な世界が広がる鍾乳洞
ハロン湾に浮かぶ島々の中には、鍾乳洞になっているものもあります。そして、その中のいくつかの島は、上陸して中を見学することができるようになっています。
中に入ると、鍾乳石が生み出す神秘的な世界が広がっていますよ。
ハロン湾6時間クルーズではスンソット洞窟に、4時間クルーズではティエンクン洞窟に行きます。
リゾート気分も味わえる
ハロン湾をまわるクルーズ船は、日帰りの格安クルーズから豪華な客室を兼ね備えた船上泊クルーズまで色々なタイプがあります。
船上泊クルーズに参加すれば、デッキでのんびりと過ごすし、朝日や夕日を眺め、リゾート気分を味わうことができます。特別な記念日にハロン湾を訪れるのも良いかもしれません。
また、最近は、日帰りクルーズでも、リラックスできるデッキを備えたラグジュアリータイプの船が多くなってきています。
美味しい海鮮料理
ハロン湾の楽しみは、「食」にもあります。エビ、イカ、カニ、カキ、シャコなどと言った新鮮なシーフードを楽しむことができます。
クルーズ船上でも海鮮料理は楽しむことができますが、ハロンの「食」を本気で楽しみたい方は、地元の海鮮料理レストランに行くのがおすすめです。
ハロン湾はハノイからのツアーで行くのが一般的ですが、専用車などで個人で行くこともできます。
チャンアンの魅力
チャンアンは、以前は、知る人ぞ知る観光地でしたが、2014年に世界遺産に登録されてから、年々観光客が増えてきています。ハロン湾に続いて、チャンアンの魅力もみていきましょう。
川下りをしながら楽しむ、奇岩の景色
ハノイから南へ約100キロ、ニンビン省に位置するチャンアン。
石灰岩の奇岩が連なる景色が田園風景の中に広がり、その合間に流れる川を、手漕ぎボートに乗って進んでいきます。地元に人が漕いでくれる手漕ぎボートから眺める景色は、大自然を近くに感じられる気がします。
歴史にも触れられる世界遺産
チャンアンは、2014年、古都ホアルーなどその周辺エリアも含めて、「チャンアン複合景観」として世界複合遺産に登録されました。
世界複合遺産とは、聞きなれない方も多いかもしれませんが、自然的にも文化的にも評価される世界遺産です。
自然も、歴史・文化も、両方を感じられるのがチャンアンの大きな魅力の一つです。
世界遺産で「サイクリング」を楽しむ
チャンアンの人気アクティビティと言ったら、サイクリングです。奇岩の風景を見ながら、風を切ってサイクリングするのは心地が良いものです。
自転車は個人で借りる場合、宿泊ホテルや駅前のカフェなどで借りることができます。
ツアーの場合、予約時にサイクリングが含まれているか確認が必要です。
ムア洞窟が絶景過ぎる
チャンアン複合景観では、チャンアンの他にタムコックという場所でも川下りができます。このタムコックを山の上から眺められるのが「ムア洞窟」。
ムア洞窟からの景色は、本当に素晴らしく、絶景と呼ぶのにふさわしい場所ですよ。チャンアンを訪れたら、ぜひとも足を運んでもらいたい観光スポットです。約500段の階段は、なかなかハードですが上る価値アリです。
列車で行けば旅人気分
チャンアンへは、ツアーを使わず、鉄道を使って個人で行くのもおすすめです。
ニンビン駅で下車し、そこから、タクシー、バイク、自転車などを使って、チャンアンエリアの観光スポットを見て回ることができます。
鉄道を利用することで、一気に旅のテンションが上がりますよね。
個人旅行におすすめ
ハノイ発のチャンアンツアーは多くありますが、チャンアンは個人で行きたい人にも、おすすめのスポットです。
というのも、チャンアンの川下りは、小さなボートが朝から夕方まで常に待機しているので、個人で行けば、自分の好きなタイミングで乗船することができるのです。古都ホアルーやムア洞窟など、他の観光スポットをどのように見て回るかも、自由にアレンジできます。
一方、ハロン湾は個人で現地に行ったとしても、クルーズ船に乗ってからは、グループ行動が要求されます。また、多くのクルーズ船の出航時間は、だいたい同じ時間なので、自由気ままに旅をするのが難しいです。
アクセスはどっちが良いの?
ハロン湾よりもチャンアンまでの方が、ハノイからの距離は短いです。しかし、ハロン湾まで高速道路で行けるようになり、時間の差は30分もなくなりました。
ハロン湾までのアクセス
ハロン湾へは、ハノイ発のツアーで行くのが一般的です。日帰りツアーと船上泊ツアーがあり、船上泊ツアーも人気があります。
ハノイからハロン湾までは約150㎞で、車で2時間強です。高速道路ができる以前は、4時間ぐらいかかり、さらに道の舗装も悪くなかなか大変な道のりでしたが、今は道路もバスも良くなり、ハロン湾まで快適に行くことができます。
ツアーで行くのが一般的ですが、個人で、バスや専用車を利用してハロン湾へ行くことも可能です。ハロン湾沿岸の街には大きな遊園地やビーチがあります。また、海鮮市場の見学も興味深いです。海鮮料理のレストランへ行ったり、遊園地で遊んだり、それに加えてクルーズを楽しんだり…個人旅行を思う存分満喫するなら、1泊2日がおすすめですよ。
チャンアンまでのアクセス
チャンアンへもハノイ発のツアーが多く出ています。チャンアンツアーは日帰りツアーが基本です。
ハノイからチャンアンまでは約100kmで、車で2時間弱、ハロン湾よりもハノイに近いです。
チャンアンは個人で、バスや専用車、鉄道を使って、個人旅行を楽しむ人も少なくありません。個人で行き、チャンアンエリアのホテルに1泊するのも良いかもしれません。チャンアン(ニンビン駅)から、そのまま、鉄道で南下し中部のフエへ向かい、ベトナム縦断する旅も考えられます。
費用はどっちが安いの?
どちらも素晴らしい景色なら安い方がいいですよね。旅行にかかる費用をみていきましょう。
ハロン湾にかかる費用の目安
ツアーで行く場合 | |
ハノイ発ハロン湾日帰りツアー | 約100万ドン~(英語) |
個人で行く場合 | |
港でクルーズ船のチケットを購入 | 44万ドン(4時間・食事とカヤック含まず) |
ハロン市内初ハロン湾日帰りツアー | 約70万ドン~(英語) |
バス片道 | 約20万ドン~ |
専用車往復 | 300万ドン~(弊社料金) |
ハロン湾は100万ドン(約6000円)程度の格安ツアーからありますが、ラグジュアリータイプのツアーもあります。
景色やカヤックを楽しむだけなら格安ツアーで十分ですが、リゾート気分を味わうなら、1泊2日のちょっと豪華な船を選ぶとよいかもしれません。1泊2日ツアーは安いもので1人100ドルくらいからありますが、何百ドルもする船も多くあります。
日帰りツアーも、ツアーの値段に応じて、船のランクが変わってきます。
チャンアンにかかる費用の目安
ツアーで行く場合 | |
ハノイ発チャンアン日帰りツアー | 約100万ドン~(英語) |
個人で行く場合 | |
チャンアンボートチケット | 25万ドン |
ムア洞窟チケット | 10万ドン |
古都ホアルーチケット | 2万ドン |
バス片道 | 約16万ドン~ |
専用車往復 | 220万ドン~(弊社料金) |
チャンアンツアーも100万ドン(約6000円)くらいから日帰りツアーがありますが、ものすごく高価なチャンアンツアーというのは、ほとんどありません。
ハロン湾ツアーは船が豪華になれば、日帰りツアーでも価格も上がっていくのですが、チャンアンツアーは豪華にする要素が往復のバスくらいしかありません。
チャンアンでラグジュアリーな旅を、ツアーを使ってするのは難しいかもしれません。ちょっと贅沢な旅をするなら、専用車で行き、リゾートタイプのホテルに泊まるのがおすすめです。
ベストシーズンはいつ?
ハノイを訪れる季節に合わせて、ハロン湾へ行くか、チャンアンへ行くか決めるのも一つの方法ですよね。それぞれのベストシーズンもチェックしてみましょう。
ハロン湾のベストシーズン
ハロン湾のベストシーズンをインターネットで調べると、「11~3月」という説、「6~8月」という説…様々な季節が出てきてしまって、いったいどの季節がベストシーズンかわからなくなってしまいます。
私、個人的には、ベストシーズンというには幅が広すぎるかもしれませんが、「冬以外の春・夏・秋(3から11月)ならばいつでもOK!あとは天気に運を任せるしかない」と考えています。
夏は雨季で雨が多いと言われますが、1日中、雨が降り続くことは少ないので、朝は雨でも夕方には、サンセットが見えたなんてことも多いですよ。8月から9月は台風が来て欠航になる可能性があるのですが、これは、もう運がなかったと思うしかありません。
しかし、冬は、個人的にはおすすめしません。
ベトナム北部の冬は、「涼しく雨量も少ない」という情報もありますが、冬のハロン湾は「涼しい」を越えて「寒い」と個人的には感じます。デッキに出て景色を眺めるのがハロン湾クルーズの醍醐味だと思うのですが、寒くてはデッキに出る気になりません。
また、確かに降水量は少ないかもしれませんが、冬のハロン湾はどんよりとした雲に覆われていることが多いです。さらに、水位も低くなりがちで、カヤックが思う存分楽しめない日も多いです。水温も低いので、当然、ビーチで泳ぐこともできません。
ただ、水墨画のように、しっとりとした風情のある景色を楽しみたいという人にとっては、冬がベストシーズンと言えるかもしれません。
チャンアンのベストシーズン
チャンアンはハロン湾に比べて、1年を通して天気が安定しています。台風でツアーがキャンセルになるということも、ほとんどありませんし、冬でも海の上よりは寒くありません。
しかし、天気が安定していると言っても、川下りは小舟です。寒さや暑さ、雨をしのぐために、船室へ逃げ込むことができません。それぞれの小舟には日傘が用意してあるのですが、夏場の日差しは、小さな子どもや年配の方には、ちょっときついかもしれません。小舟での川下りであることを考えると、チャンアンのベストシーズンは、春と秋と言えるでしょう。
暑さや寒さを気にしないのであれば、冬は曇りがちの日が多いですが、チャンアンは一年中おすすめの観光スポットです。
ただ、旧正月期間(年によって日にちは変わるが2月頃)は、注意が必要です。旧正月期間は、初詣も兼ねたベトナム人観光客で非常に混雑します。
ハロン湾とチャンアンどちらを選ぶべきか
ハロン湾、チャンアン、どちらもハノイから日帰りで行ける魅力的な観光地です。結局、どちらへ行ったらよいのでしょうか。
ハロン湾がおすすめな人
海が好きな人
交通の便や料金を比較しても、ハロン湾とチャンアン、どっちがおすすめだとはっきり言うことができません。となると、シンプルに考えて、まずは海派か山派かということがポイントになると思います。
当たり前の結論かもしれませんが、山の風景より海の風景が好き、旅行に行ったらとにかくビーチで泳ぎたい、そんな人にはハロン湾がおすすめです。
定番観光地を外したくない人
チャンアンの知名度と人気が年々上がってきているとはいえ、どちらが有名かといえばやはりハロン湾です。初めてのベトナム・ハノイ旅行で、定番観光スポットは外したくないという思いがある方は、とりあえず、ハロン湾へ行ってみてください。
リゾート気分を味わいたい人
ハロン湾で船上泊ツアーに参加すれば、景色を楽しむだけでなく、旅のリラックスした雰囲気も味わえるはずです。
夕暮れ時に、カクテルやワインを注文して、デッキでまったりタイム…。ハロン湾クルーズなら、そんな旅行が実現できますよ。旅にリラックスやリフレッシュを求める方は、ハロン湾船上泊クルーズがおすすめです。
チャンアンがおすすめな人
山や川が好きな人
海よりも山だ!、そんな人はチャンアンへ行きましょう。ハロン湾にしろ、チャンアンにしろ、見どころはどちらも石灰岩の奇岩なのです。チャンアンへ行けば、緑に囲まれた風景のなかで、奇岩を堪能することができます。
自然と歴史を1日で体感したい人
チャンアン複合景観の一つである古都ホアルーは、968年にベトナム最初の統一王朝が置かれた場所です。中国の支配を受けてきたベトナムですが、ここから、本格的なベトナム独自政権がはじまりました。その後、1010年にハノイに都が移されます。
ベトナムの歴史を深く知りたい人は、チャンアンは外せない場所だと思います。古都ホアルーを見学してから、ハノイのタンロン遺跡(都が置かれた場所)を見学すると、ベトナムの歴史の流れを感じることができますよ。
自分のペースで旅をしたい人
ハノイからの個人旅行を検討している人にはチャンアンをおすすめします。チャンアン複合景観の様々な観光スポットを自分のペースでまわることができます。
鉄道を使っての日帰り旅行を計画するのも楽しいですよ。
冬にハノイ旅行をする人
冬のベトナム北部は天気が悪く寒いので、個人的にはあまりおすすめしませんが、年末年始しかまとまった休みが取れない人も多いですよね。
チャンアンも決して、天気が良いとは言えないのですが、それでもハロン湾よりは観光を楽しめるのではないかと思います。
おすすめツアー
ハロン湾、チャンアン、それぞれのおすすめツアーを紹介します。このサイトを運営している「日本人宿イージーステイハノイ」が手配しているツアーです。ツアーに関する疑問は、メールをいただければ日本人スタッフが日本語で回答します。
日本人宿イージーステイハノイ
ezstayhanoi001@gmail.com
(担当:久保)
ハロン湾ツアー
ハロン湾日帰り6時間【英語】100万VND(Sunlight Cruise)
英語ツアーですが、なんと100万ドンぽっきりのツアーです。100万ドンというと、2024年のレートで約6000円のツアーです。
6時間クルーズで、ツアー内には、カヤックや洞窟見学も含まれています。
ハロン湾日帰り4時間【日本語】160万VND(JVTA Tourism)
日本語ガイド付きの4時間クルーズのツアーです。
4時間クルーズがおすすめなのは、ハノイに早く戻って来られるところと、航路があまり混雑していないところ。近年は6時間クルーズが主流になっているので、実は6時間クルーズの航路はものすごく混雑しているのです。一方、4時間クルーズの航路は比較的に空いているので、穴場ルートですよ。
チャンアンツアー
チャンアン・ホアルー・ムア洞窟【英語】110万VND(Cozy Vietnam Travel)
110万ドンの英語ツアーですが、行き帰りのバスはゆったり座れるリムジンバスで、サイクリングのアクティビティーもついたお得なツアーです。
タムコック川下りのツアーもあります。
チャンアン・ホアルー・ムア洞窟【日本語】145万VND(JVTA Tourism)
日本語ガイドがベトナムの歴史や文化も詳しく解説してくれるツアー。自然の風景だけでなく、ベトナム史もしっかり理解したい人におすすめです。
往復のバスは快適なリムジンバスです。
ハロン湾とチャンアンのまとめ
―海面から、数千ともいわれる奇岩が突き出ている景色をクルーズ船に乗って楽しむハロン湾
―田園風景の中に連なる奇岩の合間に流れる川を、手漕ぎボートに乗って進むチャンアン
ハロン湾、チャンアン、ともに石灰岩の奇岩が美しい世界遺産ですが、それぞれに異なる魅力があり、結局のところ、どちらを選ぶかは個人の旅行プラン次第です。
どちらも素晴らしい体験ができる場所ですので、時間が許すなら両方訪れてほしいものです。