中国と国境を接するベトナム最北端の地「ハザン(Ha Giang)」。
迫力ある山々が、力強くも優雅な曲線を描きながらどこまでも連なるハザンの絶景は、旅人の心をつかんでやみません。かくいう私も、2026年、6度目のハザン旅行を計画中です。
そして、ハザン観光の魅力は山々の風景だけではありません。ハザンには私たちの好奇心をそそるものがあふれています。少数民族の素朴な生活や、彼らが何世代にも渡って耕作してきた棚田…
この記事では、ハザンの見どころや行き方など、具体的なハザン旅行の方法を、わかりやすく解説していきたいと思います。
ハザンとは?:ベトナム最北端、世界が注目する「絶景の地」
そもそも、「ハザン」とはどんな場所なのでしょうか。ベトナム・ハノイ旅行を計画する段階になって、初めて「ハザン」という地名を聞いた人も多いはず。まずは、ハザンがどんなところなのか、つかんでいきましょう。
ハザンの山々はすごい!驚きと感動の連続

ハザンは…
とにかく山の景色がすごいんです。
語彙力、無さすぎですよね。

ハザンには、絶景が広がるエリアをバイクや車で1周ぐるりとまわれる「ハザンループ」という整備された道路があり、ハザン観光と言えばこのループのツーリングです。
ハザンループを観光していると、「すごい」「すごい」「すごい」という言葉が絶えず出てきてしまうのは事実。
だって、本当にすごいのですから。
私だけでなく、ハザンへ行ってきた人たちに感想を聞いても、やはり、「すごい!」だとか、「Amazing! 」だとか、そういった言葉が1番に返ってきますよ。

しかし、「すごい」だけで表現するのも、ブログ記事としてはつまらないので、あえて、じっくり風景を眺めてみましょう…
ハザンの山々は、岩山でありながらも、こんもりと緑に覆われでいることに気づきます。そのため、ハザン独特の力強くも優雅な曲線が生まれているように感じます。
また、深い谷間に川が流れていたり、村々が点在していたりすることも多く、それらも魅力的な景色を作り出しているのではないでしょうか。
ハザンのすごさを私なりに分析してみましたが、やはり一言でいって「ハザンはすごい」です。
Ha Giang is amazing!
ユネスコ世界ジオパークに認定されたカルスト台地

ハザン一帯は「カルスト台地」です。
「カルスト台地…って何だっけ?」と疑問に思った方、いますよね?
カルスト台地とは、何億年もの昔、海の中でサンゴや生き物の殻が積もってできた石灰岩が、長い時間をかけて隆起し、地上に出た後、雨水や地下水などによって溶けたり、削られたりしながらできた台地のことです。
あれ?これってもしかして…ベトナム北部の自然に詳しい方は、「カルスト」という言葉だけで、すでにピンと来ているかもしれませんが、ハロン湾やニンビン(チャンアン)の奇岩と同じ過程を経てできた地形です。
ハザンの風景ができるまでの長い長い時間に思いをはせると、景色の見え方もさらに変わってくるかもしれませんね。
そして、ハザン省最北部に広がる絶景は、「ドンヴァンカルスト高原」と呼ばれ、2010年に「ユネスコ世界ジオパーク」に認定されました。
「ユネスコ世界遺産」ではなく、「ユネスコ世界ジオパーク」というのは聞きなれない言葉かと思います。私もこの記事を書くにあたって、初めて知りました。
世界遺産は遺跡や自然の保護が目的ですが、世界ジオパークには「地球の公園」という意味があり、保護するだけでなく、教育・観光・地域振興に活用していこうとする取り組みだそうです。
世界遺産とは違った形ですが、ハザンは国際的にも価値のある場所だと認められているのです。
ハザンは少数民族が耕す棚田も美しかった

ベトナムの棚田というと、「サパ(Sa Pa)」が圧倒的に有名ですが、ハザンループをまわっていても、あちこちで美しい棚田を目にすることができます。ハザンはベトナムの棚田を見てみたいという人にとっても、ぴったりの場所だと思います。
ハザンの棚田は、サパの棚田に比べると、かなり大きいです。棚田がどこまでも広がっている景色は圧巻です。
しかし、実はハザンでもっとも美しいと言われる棚田は、多くの観光客が訪れるエリアにはありません。ハザンでもっとも美しい棚田エリアは、ホアンスーフィー(Hoang Su Phi )というところにあり、より広大な棚田の風景が見られるとのこと。
ただ、ハザン市の中心から約110km離れており、ハザンループとは完全に逆方向に位置しています。ツーリスト向けのバスもあまりなさそうなので、なかなかハードな旅になるかもしれません。
実は、私はまだホアンスーフィーへ行ったことがありません。次のハザン旅行では、ぜひとも訪れてみたいです。
山岳地帯で暮らすハザンの少数民族との出会い

ベトナムは人口の8割以上を占めるキン族を含めて、なんと54の民族をもつ、他民族国家。ハザンには、モン族やターイ族など、20前後の少数民族が暮らしています。
ハザンを観光していると、山道を歩く少数民族に遭遇することも、しょっちゅう。
景色だけでなく、少数民族の生活を垣間見ることができるのも、ハザンの良いところです。

道端で少数民族が売る食べ物を購入してみるのもありかもしれません。
ベトナム最北端ハザンには、日本人経営のカフェも

ハザンを解説する上で、忘れてはいけないことがあります。
それは、ベトナム最北端の地であること。
ハザンの中でも最も北に位置するルンクー村には、最北端を示す国旗が掲げられたフラッグタワーがあります。フラッグタワーの前では、記念撮影をする人々が。ハザンまで来たら、せっかくなのでベトナム国旗の前で写真を撮りたいですよね。

そして、この最北端村、ルンクー村には日本人の小倉靖さんが経営するカフェ「クックバック」もあります。
ルンクー村のロロ族に魅了された小倉さんは、「村の振興につなげよう」と、私費で民家を改造し、2015年8月に「カフェ・クックバック」をオープンさせました。小倉さんは日本在住で、定期的にルンクー村を訪れています。
写真はたまたま、カフェでお会いできたときのものです。
ハザンへのアクセス方法と観光のポイント
ハザンのイメージがつかめたところで、具体的な旅行方法をチェックしていきましょう。ハロン湾やニンビン(チャンアン)に比べて、ちょっとだけハードルは高いかもしれませんが、2026年現在、外国人でも観光できる場所となっています。
ハザンってどこにあるの?
まずは改めてハザンの位置確認。
ハザンというと、旧ハザン省を指します。2025年にトゥエンクアン省に編入され、行政区画としてはハザン省はなくなってしまいましたが、ハザン旅行と言えば、かつてのハザン省一帯の観光のことです。
そのハザン、どこにあるかというと、ベトナムの北の端っこ。ハザンの向こう側は中国です。
首都ハノイからは旧ハザン省の省都であるハザン市まででも約300km、最北端の村、ルンクー村までは約450km離れています。バスや車で6時間~7時間程度かかります。
ハノイからハザン市への移動方法

ハノイからハザンの中心地、ハザン市への移動方法は、「寝台バス」が一般的です。ハザン行の寝台バスは、ミーディンバスターミナルから多く出ています。
【ハザンまでの基本的な行き方】
※実際は状況が異なることがあります。参考までに
①34番の路線バスでミーディンバスターミナルへ行く

料金
1万VND(約60円)
34番に乗れるバス停の例
どこのバス停からでもいいので、34番の路線バスに乗ってください。終点がミーディンバスターミナル(Bến xe Mỹ Đình)です。
Bến xe(ベンセー)というのが、バスターミナルの意味です。
②バスターミナルでチケットを購入し乗車

料金
通常のバス:25万VND程度(約1,500円)
キャビンバス:35万VND程度(約2,100円)
寝台バスには、通常の2段ベッド3列シートのバスと、個室タイプのキャビンバスの2種類があります。6時間強のバス旅になるので、くつろげるキャビンバスはおすすめです。
チケットはバスターミナル内のチケットカウンターで購入可能ですが、英語が通じるとは限りません。「乗りたい日時・Cabin・Ha Giang」など、メモを見せた方がスムーズに購入できると思います。
③終点「ハザンバスターミナル」で降車

寝台バスの終点はハザンバスターミナルのことが多いですが、バス会社の事務所前など、他の場所の場合もあります。
また、バスが宿泊ホテルまで直接送り届けてくれることもあります。その場合、車内で行先を確認されるので、自分が宿泊するホテルの住所をメモしておくと安心です。
ハザン観光はイージーライダーでツーリング

ハザン市に到着したら、いよいよハザン観光のスタート。ハザン観光のメインは、「ハザンループ」をバイクや車でツーリングすることです。ハザン市は都市なので、絶景スポットというわけではなく、あくまで旅の出発点。
「え、バイクなんて運転できないんだけど?ってことは、車のチャーターが必須??」
という声が聞こえてきそうですが、ハザンでは「イージーライダー」というものが発展しています。

ハザンでは、プロのドライバーさんの後部座席に乗せてもらってツーリングすることをイージーライダーと呼んでいます。
イージーライダーというと、なんだか特別なものに感じますが、ベトナムの街中でよく見る「バイクタクシー(ベトナム語ではセオム)」ですね。

もちろん、より安全にということであれば、車でまわることを選択してもOK。
私は車もイージーライダーも経験しましたが、人並みの体力があって一人旅ならイージーライダーがおすすめです。風を切ってのツーリングは気持ちがいいですよ。二人以上なら、車も楽しいです。同じ景色を見ながら、その感動を共有することができますからね。
ベトナム在住でベトナムの運転免許を持っている場合は、ハザン現地でバイクをレンタルすることも可能です。ガイドが先頭を走り、その後を自分で運転してついていくツアーもあります。
ハザンの観光方法
方法①…ドライバー付きの車をチャーター
安心・安全、年配の方や体力に自信がない方におすすめ
方法②…イージーライダー(ドライバー付きのバイク)
風を切って、ハザンの風景を満喫
バイク転倒のリスクは、自己責任
方法③…バイクレンタル(自分で運転)
ベトナムの免許が必要
普段から山道を走っている人におすすめ
方法④(番外編)…ローカルバスとバイタク
地元の人が使うローカルバスとバイクタクシーを使っての観光も可能
かなりハード
ハザン観光攻略のポイントはハザンループ

さて、ここまで度々出てきた「ハザンループ」。どのようなルートなのでしょうか。少し詳しくみてみましょう。
写真はゲストハウスでもらったハザンループの地図です。
ハザンループはハザン市を起点とし、クアンバ(Quan Ba)、イエンミン(Yen Minh)、ドンバン(Dong Van)、メオバック(Meo Vac)を経由し戻ってくる周遊ルートです。ハザン省北部各地の巨大な石灰岩の山々、深い渓谷、棚田などの絶景を見ることができます。
1周の距離は300km~400kmほど。
最短1泊2日で1周することも可能ですが、ゆっくり見て回ることができません。2泊~3泊かけて、まわるのがおすすめです。
寝台バス付のハノイ発ハザンツアーも

最近は、ハノイにある旅行代理店はほぼ100%、ハノイ発のハザンツアーを取り扱っています。また、ホテルなどもハザンツアーを取り扱っていることが多いです。
ハノイ-ハザンまでの寝台バスとハザンループをまわるツアーをセットにして販売しているので、ハノイ発のツアーを予約してしまえば、34番の路線バスでミーディンバスターミナルへ行って…そんな手間は不要です。
イージーステイハノイでも、ハノイ発のツアーの取り扱いがありますよ。
グループツアー(イージーライダー)
プライベートツアー(イージーライダー/専用車)
ハザンツアーがどんな感じか知りたい方はこちらの記事もチェックしてください。
ハザンおすすめ観光スポット
ハザンループ内には、様々な観光スポットがあります。ここでは、主要な観光スポットを紹介します。
おっぱい山(Núi đôi Cô Tiên)

まるでおっぱいのような形をした二つの山。英語ではTwin Mountainと呼ばれます。
天女が下界の男性と恋に落ち、子どもを授かったものの、自分は連れ戻されることになり、子どものために乳房を切り取って地上に置いていき、山になったという伝説があります。
クアンバの街の中に、ぽこぽこと仲良く並んでいるのがかわいらしいです。
ルンクイ洞窟(Lung Khuy Cave)

クアンバにある鍾乳洞。
駐車場から30~40分ほど坂をのぼっていくと鍾乳洞の入り口に。中に入れば神秘的な世界が広がっています。
鍾乳洞の中は、歩きやすいように遊歩道が整備されています。
タンマー峠(Tham Ma Pass)

ハザンループツーリングで必ず通る曲がりくねった山道、タンマーパス。バイクや車をとめて写真撮影をする人気スポットです。
道の途中では、少数民族の子どもたちが花の入ったカゴを背負って立っていて、写真を撮らせてもらうことができます。
ルンカム村(Lung Cam cultural & travel village)

ベトナム映画「パオの物語」のロケ地「ルンカム村」。
ルンカム村には、モン族、ロロ族、ホア族の3つの民族、約70世帯、300人が暮らしています。彼らは土壁の伝統的な家屋に住んでいて、中には100年以上も前に建てられた家もあります。
モン族の王の屋敷(Dinh Vua Mèo)

20世紀初頭に、アヘン交易で財を成しモン族の王(ヴォン家)のお屋敷。
内部建築は、モン族、フランス、中国の3つの異なる文化が融合したものであるにも関わらず、調和がとれたつくりになっています。
ルンクー村のフラッグタワー(Lung Cu Flag Point)

ルンクー村にあるベトナム最北端を象徴するフラッグタワー。
上に掲げられた国旗は54平方メートルの広さがあり、ベトナムの54民族の結束を象徴しています。
ルンクー村には、日本人オーナーのカフェ「クックバック」もあります。
マピレン峠(Ma Pi Leng Pass)

ドンヴァンからメオバックへ行く途中にあるマピレン峠はニョークエ川を見下ろす絶景ポイント、おそらくハザン観光のハイライトです。
ここを見ずして、ハザンへ来たとは言えません。息をのむ絶景とは、まさにこのこと。
ニョークエ川のボート(Nho Que River boat tour)

マピレンから見下ろすことができるニョークエ川。この川をボートで下ることができます。
高い岩山に囲まれたニョークエ川を遊覧船がすりぬけていきます。
私が乗った日は曇っていましたが、晴れた日はエメラルドグリーンの水面が美しいとのこと。
メオバックの日曜市(Chợ Trung tâm Mèo Vạc)

ハザンの各地では、少数民族が集まる日曜市が開催されます。メオバックの日曜市はその中でも、かなり大規模なもの。
豚、鶏などの動物、鮮やかな少数民族の衣服、様々なものが売られています。
ズーザー村(Du Già)

ハザンにあるのどかな村。川や滝、田んぼがあり、のんびり過ごすことができる場所。バイク旅をしてきた人は、この村で疲れを癒すのがおすすめです。
ルンタム麻織物工房(Lung Tam Linen Cooperative)

麻織物(リネン)で有名なルンタム村にある、小さな織物工房。麻を紡ぐところから、織るところまで、織物の各工程を見学できます。
お土産コーナーでは、麻織物の小物やバッグなどが売られており、ハザンのお土産探しにもぴったりの場所です。
ハザンループ2泊3日観光モデルコース
ハザン旅行、実際にするとしたらどんな日程になるのでしょうか。
定番の2泊3日観光モデルコースでも、ハノイからの移動を考えると、実際は5日間程度が必要になります。週末弾丸海外…とは、残念ながらいきませんが、ハザンの絶景は長期休みをとっても見る価値があると思いますよ。
| 1日目 | |
| 20:00頃 | 寝台バスに乗ってハザンへ(車中泊) |
| 2日目 | Ha Giang – Dong Van (150km) |
| 4:00 | ハザンに到着、ゲストハウスやホテルで仮眠 |
| 9:00 | ツーリングスタート |
| 主な観光…おっぱい山、タンマー峠、ルンカム村、モン族の王の屋敷 | |
| 17:30 | ドンヴァンのゲストハウスに宿泊 |
| 3日目 | Dong Van – Meo Vac (110km) |
| 主な観光…ルンクーフラッグタワー、マピレン渓谷,、ニョークエ川ボート | |
| 17:30 | メオバックのゲストハウスに宿泊 |
| 4日目 | Meo Vac – Ha Giang (155km) |
| 主な観光…メオバックの朝市(日曜)、ルンタム村 | |
| 20:30 | 寝台バスに乗ってハノイへ(車中泊) |
| 5日目 | |
| 4:00 | ハノイに到着 |
まとめ:ハザンへ行くべき理由

ベトナム最後の秘境と言われたハザンですが、ここ数年の発展は著しいものがあります。
しかし、そうは言っても、まだまだ伝統的な少数民族の生活や、ありのままの自然を体験することができます。
カルスト台地の絶景がどこまでも続き、少数民族が伝統的な生活を営むハザン。すでに秘境とは言えないかもしれませんが、その断片を感じられるうちに、足を運んでみてはいかがでしょうか。

この記事を書いている人【ざわわ(1983年生)】
旅行をきっかけにベトナムにはまる。日本人宿イージーステイハノイのスタッフとして、ベトナム・ハノイに約6年在住。宿休業と結婚を機に、日本へ帰国。
現在は、年に数回ベトナムで取材を行い、当サイトEZ STAY Hanoiを管理している。














