ハノイの世界遺産「タンロン遺跡」見どころ教えます!

ハノイから行ける世界遺産と言ったら「ハロン湾」と「チャンアン」が有名です。しかし、ハノイ市内にも世界遺産があるのをご存知ですか。

「タンロン遺跡」は、ハノイ市内中心部にある世界遺産です。ハノイ旅行中、気軽に行けるので、世界遺産やベトナムの歴史に興味がある人はぜひ訪れてみてください。

この記事では、行き方や入場料などの基本情報とともに、タンロン遺跡の見どころを紹介していきます。

タンロン遺跡とは

タンロン遺跡とは、かつてのベトナム王朝の都が置かれた場所です。ベトナムの首都ハノイの中心部にあります。

タンロンは、漢字で「昇龍」と書くのですが、ハノイの旧称です。ベトナム最初の長期統一政権を打ち立てたリータイトーが、1010年に都をニンビンのホアルー(華閭)から移す際に、黄金の龍が現れ、天高く飛び立つのを見たため「タンロン(昇龍)」と名付けられたと言われています。

1010年に都が置かれたのち約800年間、王朝は交代しても遷都は行われず、阮(グエン)朝がフエに王宮の建設を開始する1805年まで、タンロンは長きにわたって都であり続けました。

そのため、同じ場所から異なる王朝の都の跡が重なって見つかっており、これがタンロン遺跡の大きな特徴です。

さらに、統一政権ができる1010年以前、中国支配時代のダイラ(8~9世紀)などの遺跡も同じ場所で発掘されています。また、フエに都が移った後、タンロンはハノイと名前を改名し、地方都市となりましたが、規模が縮小されたハノイ城が同じ土地に建設されました。

タンロン遺跡は2002年に国会議事堂建て替えの際に発掘され、2010年に世界文化遺産として指定されました。今でも発掘調査は続いています。

ハノイ中心部からの行き方

タンロン遺跡は、ツアーを使わずに個人で観光することができます。

ハノイ観光の中心である旧市街やホアンキエム湖からは、タクシーや配車アプリのグラブを使って10分程度です。徒歩だと30分くらいかかるので、タンロン遺跡にはタクシーやグラブで行くのがいいでしょう。

ドライバーに見せるために、ベトナム語と英語での呼び方、住所を記載しておきます。

タンロン遺跡
The Imperial Citadel of Thang Long(英語)
Hoàng Thành Thăng Long(ベトナム語)

住所
19c Hoàng Diệu, Điện Biên, Ba Đình, Hà Nội

タンロン遺跡の入り口はホアンジエウ(Hoàng Diệu)通り側です。敷地が広いので、どこに入口があるか把握しておくのが大切ですね。

2階建て観光バスのルートにも入っているので、2階建て観光バスの乗り降り自由のチケットを購入して、訪れてみるのもいいかもしれません。ホアンキエム湖西側でチケットを購入し、乗車することができますよ。

2階建てバス

また、ホーチミン廟や文廟からは徒歩15分程度なので、合わせて観光してもいいかもしれません。

タンロン遺跡の見どころ

それでは、ここからは実際の様子と、見どころをチェックしていきましょう。2024年3月にタンロン遺跡へ行ってきました。

入場料は7万ドン(約420円)

ホアンジエウ(Hoàng Diệu) 通り沿いに入口があります。敷地内に入るとチケットを販売している建物があるので、中でチケットを買いましょう。

ちなみに出口は異なります。見学して先に進んで行くと出口があります。

チケットは2024年現在、7万ドン(約420円)でした。このQRコードがついたレシートみたいな紙がチケットです。今、ハノイの観光施設のチケットはこのタイプが多いです。

チケットはなくさないように気をつけてください。タンロン遺跡は、道路を挟んだ場所に発掘エリア「ホアンジエウ18番遺跡」があり、そこでもう一度チケットを見せることになります。

チケット窓口のある建物内は、テト(旧正月)の様子が再現されていました。テトが終わったばかりだからなのか、年間通しての展示なのかはわかりません。

ドアン門(端門)

チケットを購入した建物からゲートを通って外に出ると、大きな広場になっています。

広場の道を進んでいくと、タンロン遺跡のシンボル的な建造物「ドアン門(端門)」が待ち構えています。ここがタンロン遺跡、最初の見どころです。

いかにも王宮らしいドアン門は、15世紀の後黎朝時代に建てられ、都がフエに移ってからの阮朝時代に補修されたそうです。

ドアン門は階段を上がって、景色を楽しむことができます。

「女性の日(3月8日)」が近く、民族衣装のアオザイを着た女性がたくさん写真撮影をしていました。

奥に見えるのは国旗掲揚塔です。国旗掲揚塔も世界遺産に含まれているのですが、隣の施設「ベトナム軍事歴史博物館」から中に入ります。

エキシビジョンルーム

ドアン門の先へ進むと、フランス軍事政権時代の建物を使ったエキシビジョンルームがあります。

各時代に発掘されたものが展示されていて、かなり見ごたえがあります。展示されている、あらゆる年代のものが、全てここタンロン遺跡で発掘されたと思うと感慨深いですよね。

「昇龍(タンロン)」だけに、龍がモチーフのものが多いです。

正直なところ、私はベトナムの歴史はよくわからないので、美術館感覚で展示を楽しみました。アートに興味があるという人にも、タンロン遺跡はおすすめです。

装飾などをじっくり見ていると、どんどん時間が経ってしまいます。この展示もタンロン遺跡の見どころの一つです。

タンロン遺跡に限ったことではありませんが、Google翻訳のカメラの機能を使って、キャプションを読んで行くと、英語が苦手でも、展示物をより理解することができるので便利ですよ。

キンティエン殿(敬天殿)

展示物を一通りみると、ドアン門同様、後黎朝時代に建てられた「キンティエン殿」があります。皇帝とその家族の生活の場所で、謁見(えっけん)や儀式なども執り行われました。

しかし、実際に残っているのは龍の階段のみです。

王宮はフランス植民地時代にフランスによって取り壊されてしまい、現在は、キンティエン殿に続く龍の階段とフランスが建てた建物が残っています。

事前の知識ゼロで見ると、ただの龍の階段に過ぎませんが、皇帝の姿をイメージすると、なかなか興味深い場所ですよね。

後楼

タンロン遺跡の敷地を奥へ、奥へと進んでいくと、「後楼」があります。この建物も後黎朝時代に建てれました。キンティエン殿の後ろ(北側)に位置するため、後楼と呼ばれます。皇帝の側室やお世話役の女官たちに利用されていました。

19世紀末フランスがハノイ城を占領した際、フランスによって破壊されてしまいましたが、再びフランスによって建て直されました。

後楼は奥にあるせいか、見学している人があまりいませんでした。ここも見どころの一つなので、みなさん訪れた際は行くのをお忘れなく。

D67作戦司令部と地下壕

タンロン遺跡の中に突然、近代的な建物があらわれるので、事前知識なしで行くと、「何これ?」となるかもしれませんが、ここもタンロン遺跡の見どころの一つです。

ベトナム戦争(1955~1975年)中、ハノイへの爆撃が激しくなってきた1967年、ハノイ城に北ベトナムの作戦司令部が作られ、ここで共産党(北ベトナム)の重要な会議が行われていました。

遺跡と呼ぶには新し過ぎるかもしれませんが、これも歴史の足跡ですよね。

地下壕もあり、爆撃に耐えられるよう頑丈な作りになっています。

タンロン遺跡には、1000年以上昔から20世紀の歴史までもが刻まれています。

ホアンジエウ18番遺跡

「ホアンジエウ18番遺跡」、ここが2002年に新しい国会議事堂を建設する際に発見された場所です。

中国支配のダイラ時代 (7 ~ 9 世紀) からグエン朝時代(1802年~1945年)にわたる建築物や遺物ここで発掘されています。同じ場所から、いくつもの異なる時代の遺跡が見つかるのは、非常に稀なことだそうですよ。

さて、ホアンジエウ18番遺跡ですが、訪れるためには、一度、敷地の外に出なくてはなりません。そして、中へ入るためには、最初に購入したチケットの提示が必要です。

ホアンジエウ18番遺跡への行き方


①ホアンジエウ通りに出る(キンティエン殿あたりに出口)


②横断歩道を渡る


③ホアンジエウ18番遺跡へ入る

バック門(正北門)

ホアンジエウ18番遺跡で発掘の様子を見終えたら、最後の見どころはバック門です。バック(Bắc)とは北の意味で、タンロン遺跡の北側、ファンディンフン(Phan Đình Phùng)通りにあります。

1805年、グエン朝時代にフランス人技術者の支援のもと造られました。しかし、門の左には砲弾痕があります。1882年のフランス軍の攻撃により破損してしまいました。

この門も上ることができます。

門の上部には、フランス軍と戦った英雄グエン・チー・フォンとホアン・ジエウが祀られています。

二人の名前は、タンロン遺跡を囲む通りの名前になっていますよ。

バック門ですが、ここもホアンジエウ18番遺跡と同様、敷地の外に出て、再び入場しなければなりません。ホアンジエウ18番遺跡を見た後、ホアンジエウ通りに出てから向かうのがよいでしょう。チケットも用意してください。

バック門への行き方


①ホアンジエウ通りを北に向かって進む


②ファンディンフン通りとの交差点で右へ曲がると門がある

観光の所要時間

今回、私はタンロン遺跡を見てまわるのに、2時間30分くらいかかりました。

展示の説明をもっとしっかり読んだら、さらに時間がかかるかもしれません。観光時間として2~3時間を予定しておくのがよいと思います。

歴史の重なりを感じよう!

タンロン遺跡は、しっかりとした形で残っている古い建造物はあまりありません。

世界遺産の遺跡というと、カンボジアのアンコールワットなど古い建物の遺跡群を思い浮かべてしまいがちです。そして、それを期待して行くとタンロン遺跡は「がっかり世界遺産」になってしまいます。「あれ?見るモノってこれだけなの??」という印象をもってしまうかもしれません。

しかし、発掘された各年代の遺物やベトナム戦争時代の建物などに注目すると、長い歴史や多様な文化が、この地に積み重なってきたことを感じることができます。

入場料・営業時間・住所

☆Hoàng Thành Thăng Long☆
住所:19c Hoàng Diệu, Điện Biên, Ba Đình(ホアンキエム湖西側から車で10分)

営業時間:8:00-17:00(無休)

入場料:70,000VND(2024年3月現在)


Googleマップ

ezstayhanoi001@gmail.com

主に参考にしたページ

THANG LONG – HANOI HERITAGE CONSERVATION CENTER

タンロン城王宮跡出土の陶磁器

知ろうベトナム!ハノイ城・タンロン城遺跡